2017広島カープのドラフトを考える3

CSファイナル初戦をラッキーな降雨コールドでカープがものにしましたが、それにもかかわらず2017カープドラフトを捕手中村獲得の是非の観点から考察します。

捕手中村を一位で獲得する件

走攻守が揃っている超高校級捕手の中村を一位指名が確定していますが、これはどういうことなのでしょうか。

現在のカープ捕手状況 量の面

まず初めに現在のカープの捕手状況ですが…
石原 曾澤 白浜 磯村 船越 中村亘 坂倉 と7人の捕手がいます。

2017年シーズン開幕当時の捕手の数は阪神7人、横浜4人! 巨人9人、中日7人、ヤクルト6人で、ついでにいうとカープは8人でした。ようするに捕手7人というのは、多すぎではないにしろ、若干多い人数であり、積極的に補強しなければならない人数ではありません

現在のカープ捕手状況 質の面

連覇を達成したカープですが、この連覇達成中に正捕手が石原から曾澤に世代交代も果たせています。

その正捕手の曾澤は今季のセ・リーグベストナインとゴールデングラブに輝きそうな、今がまさに働き盛りの真っただ中、あと4年程度はバリバリ正捕手をできそうです。

正捕手からバックアップ役の第二捕手になった石原もいつの間にか39歳ですが、キャチング技術はいまだに日本一ですし、ベテラン控え捕手としての活躍の場はまだまだあります。

第三捕手の磯村は26歳で今季経験を積みました、仮に曾澤にアクシデントがあっても取って代われる勢いはあります。また第四捕手の船越は二軍で経験を積んでおり、一軍へ上がるのもしばしばです。

白浜中村は二軍でもそんなに出番はない選手ですが、守備能力に関しては評価されています。

端的に言って、質量ともに捕手王国なのが現在の広島カープです。

坂倉という逸材

その捕手王国の現状を未来にも延伸しそうなのが逸材・坂倉の存在です。
去年のドラフト4位で指名された高卒ルーキーですが。二軍で大活躍、惜しくも首位打者こそ逃したものの、ウエスタンリーグシーズン打率2位に輝き、ファームの日本一を決める試合では決勝の打点もあげています。

一軍でも鈴木誠也以来となる高卒ルーキーのヒットをあげており、将来的な正捕手奪取が期待される存在です。

コンバートが前提…ではないっぽい

さてと、そんなチームに捕手をドラフト一位で取る必要があるのかという話です。

指名を公表する前には、中村をサードにコンバートして使うという話も関係者からあがったのですが、現在ではオーナー自らが中村を捕手で使うと明言されています。

将来的なコンバートはあるかもしれませんが、とりあえずは捕手として中村を使う予定です。

結果論として失敗だった白浜獲得

もちろん中村が本当に城島や谷繁クラスの捕手であるならば、何の問題もありません。ただ取る選手がどういった結果を残すかがわからないのがドラフトです。期待はできても計算には入れられません。

ここで思い出すのはカープの2003年ドラフトです。
この時も地元広陵高校の全国制覇をした西村(現巨人)を取れという声はありました。ところがチームが選んだのは同じ広陵高校の捕手白浜でした。

曰く白浜あっての西村…との声でしたが、結果は残酷です。常時二軍生活の白浜に対して、西村は早くから頭角を現してジャイアンツの勝ちパターンを長年務める投手になりました。結果論としては白浜獲得は失敗、西村を取るのが正解でした。

白浜獲得は結果論でなく、失敗だった?

これは結果論ですが、当時から白浜獲得をいぶかしがる声はあったのです。白浜の力量を脇に置いておくとしても、当時のカープには二年前に獲得した石原が、正捕手になりそうな気配がありました。

2002年は一軍で5試合だけですが、2003年は116試合の出場で36歳の正捕手西山を抜く勢いを見せていました。

そして実際に2004年では西山から正捕手の座を奪い、135試合に出場し規定打席にも到達しています(それから数年は伸び悩みますが…)。

そんなわかりやすい次期正捕手候補がいるのに、なぜ一位の枠を使って捕手を獲得するのかという疑問は当時からありました。

仮に白浜が大選手になったとしても、捕手2人は同時に試合に出れませんから、それだったら一位で、当時の弱点だった投手を取った方が良かったという声は、結果論として正しかったのではなく、当時の状況から導き出される結論として正しかったです。

補強ポイントはどこか

中村いらないんじゃないの?という主張に見せかけて、結論は中村一位で大丈夫というものです。その理由を「補強ポイント」という点で説明します。

積極的な補強ポイントの無い現在のカープ

現在黄金期のカープは隙のないチームです。野手warリーグトップ、投手のwarも上位で弱点はありません。

それにプラスして、主力層が若く、即戦力で急ぎ穴埋めをしないといけないポジションはありません。

また二軍も日本一に輝いており、投手では藤井・高橋樹・高橋昴・加藤、野手では坂倉・美間・高橋大といった成長株もいますし、下水流・堂林・福井・戸田といった今シーズン力になれなかった選手も捲土重来を期しています。

補強ポイントと呼ぶべきポイントの無いチームです。

それでもあげるならば左投手だが…

それでも弱点をあげるならば左腕投手になります。まあ。2軍にW高橋に塹江といった期待できる選手はいますが、計算できる選手はいません。ここを補強するのは手ではあります。

しかし左腕がいなければいないで何とかなるのを証明したのがこの二年のカープです。ただ左腕で投げるだけの投手ならば、能力の高い右腕にイニングを任せる方針でも問題は無いのです。

最強チームと最弱チームが最も補強しやすい

ドラフトというのはチームの骨格を作るものであり、既存戦力と将来的なチーム構成を見て欠けているピースを補って行くのが補強です。

しかし、現在のカープ…ついでにいうならば、5年後ぐらいのカープにもそこまで大きな穴はありません。

こういう状況下で言うならば、どういった選手を取ってもだぶっちゃう戦力になっちゃいます。なので、誰を取っても問題がないのです

ドラフトを補強として見るのならば、最弱チームと最強チームが一番楽です。最弱チームならば、誰を取っても補強になりますから、既存の選手を考えずに指名しても問題ありません。

それと同じように黄金時代の入り口にいるチームにとっては、どこを取っても戦力はダブりますから、純粋に一番いい選手を指名できる環境があるのです。

結論:中村指名で問題なし

結論ですが、実際の中村が活躍するしないに関係なく、中村獲得に至ったプロセス自体に問題はありません。

その理由として、現在のカープは黄金時代の中にあり、どんな選手を取っても過当競争の中にあるのだから、選手のダブりをそこまで気にしなくていい状況にある。というのがあげられます。

カープファンは中村獲得の是非よりも、実際に獲得できるのかどうか、二位以降はどうなるのかを考えた方が良いと思います。


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