逃げ切り計算機を作ってみた

アーリーリタイアって言葉を耳にしますが、それについて必要なのはやっぱりお金ですね。いくら持っていればアーリーリタイアをできるのかを計算するのが逃げ切り計算機。そんな逃げ切り計算機を自作してみました。

前提としてのいくつか

アーリーリタイアって何?

さて未定義でアーリーリタイアって言う言葉を使って来ましたが、そもそもアーリーリタイアってどんな意味の言葉でしょうか。
厳密な定義というのはないようなのでここでは「定年よりも前に仕事を退職して好きな事をして残りの人生を過ごす事」とりあえずこう定義して話を進めます。

アーリーリタイアは仕事を退職する、あるいは仕事量を減らして自由時間を捻出する生き方ですが、そうなると当たり前ですが、現金収入は無くなるあるいは低減します。
ですからアーリーリタイアする人の前提として、そのアーリーリタイア後の生活を保障してくれる資産なりシステムを用意しておくことが必要です。

逃げ切り計算機とは

わかりました、私はアーリーリタイア志望者です。アーリーリタイアが目標でこれだけの貯金をしましたが、はたしてこれで大丈夫ですか?……当然こういった疑問が出てきます。

こういった悩みに答えるために用いられるのが逃げ切り計算機です。この逃げ切り計算機を使えば、アーリーリタイアをするのにいくら必要なのかorいつアーリーリタイアできるのかが分かるようになります。

計算機

逃げ切り計算機

その逃げ切り計算機ですが、別に難しい機械ではなく単なる数式です。順を追ってみていきます。

最も原初の形の逃げ切り計算機

A≧Z  資産≧死亡時までの総支出…計算機1

A…資産
Z…死亡時までの総支出

死ぬまでに使うお金を上回る資産を築き上げればアーリーリタイア可能…これが最もシンプルな形の数式になりますが、いかさか不親切な数式です。左辺と右辺をもう少し詳しく分けていきましょう。

簡単な逃げ切り計算機

まずは資産をAa(現在の資産)、Ab(アーリーリタイア後の総収入)、Ac(アーリーリタイアまでに得られる収入)、Ad(念のための予備費)に細分します。
A=Aa+Ab+Ac+Ad…数式1

続いて死亡時までの総支出をZa(1年の生活費)×(Ba(予定享年)-B(現在の年齢))に分解します。
Z=Za×(Ba-B)…数式2

数式1と数式2を計算機1に代入して得られるのが…
Aa+Ab+Ac+Ad≧Za×(Ba-B)

現在の資産+予定年金収入+年金を貰えるまでに得られる収入+予備費≧年あたり生活費×(予定享年-現在の年齢)…計算機2

さくっとの計算ならばこの程度で十分だと思います。

現実的にこれぐらいで計算すればいいんじゃないかな計算機

さてと上の計算機2でもいいのですが、これをもう少し細かく見ましょう。「いくらあればアーリーリタイアできるの」という視点も重要ですが、「いくつになればアーリーリタイアできるのか」という視点も必要ですので付け加えます。
具体的には収入の方のAc(年金を貰える年齢までに得られる収入)にアーリーリタイア予定年を加えます。
Ac(年金を貰える年齢までに得られる収入)=Aca(アーリーリタイア年までの平均年収)×(Bb(アーリーリタイア予定年齢)-B(現在の年齢))
になります。

ついでにAb(アーリーリタイア後の総収入)をもう少し細かくします。
Ab(アーリーリタイア後の総収入)=Aba(アーリーリタイア後に得られる年金以外の収入)+Abb(得られる一年当たりの年金)×(予定享年(Ba)-年金取得開始年齢(Bc))

またAcは平たく言うと、アーリーリタイアをするまでのサラリーマンなら給与収入(と金利配当などを足した額)です。それをアーリーリタイアするまでの年を求められる形で計算します。
Ac(年金を得られるまでに得られる収入)=Aca(アーリーリタイアまでに得られる一年あたり平均収入)×(Bb(アーリーリタイア予定年)-B(現在の年齢))

これまたついでに右辺もちょっとだけ細かくします。総支出額を「生活費」とくくっていますが、コメや味噌を買うお金以外にも車の買い替えや家の修理などの大きな出費もあると思うので、それを別枠にします。
Z=Zb(一年あたりの純生活費)×(Ba(予定享年)-B(現在の年齢))+Zc(予定臨時出費)

これらをそれぞれ計算機2に代入したのがこれです。
Aa+Aba+Abb×(Ba-Bc)+Aca×(Bb-B)+Ad≧Zb×(Ba-B)+Zc

現在の資産+アーリーリタイア後に得られる年金以外の収入+得られる一年あたりの年金×(予定享年-年金取得開始年齢)+アーリーリタイアまでに得られる一年あたり平均収入×(アーリーリタイア予定年齢-現在の年齢)+念のための予備費

一年あたりの純生活費×(予定享年-現在の年齢)+予定臨時出費…計算機3

まあ現実的にはこの程度で計算すれば用は済むと思います。

ゴール

各関数の意味

がんがん適当な関数を使って来ましたが。ここでそれらを少し整理します。

A資産の部

A…資産 これはわかりやすいですね、用はあなたの持つ財産です。換金予定の無い不動産などは除いて、現金・銀行残高・株などの各種有価証券などのいわゆる金融資産に限ればわかりやすいと思います。 …が、しかしその辺りは各自の状況により異なってくると思いますので、臨機応変に考えてください。

Aa…現在の資産 今現時点での資産に限ります。未来の収入予定は組み込みません。
Ab…アーリーリタイア後の収入 リタイア後も細々と働くならばその給与収入、得られる年金収入、配当利子などです。
Aba…アーリーリタイア後に得られる年金以外の収入 Abから年金収入を除いた額です。
Abb…得られる一年あたりの年金 リタイア後に得られる年金収入です。公的年金に関しては年金ネットで検索可能です。

Ac…年金を得られるまでに得られる収入 まだ働き続ける前提ならばそれまでの給与所得、あとはリタイアまでに得られる配当利子など
Aca…アーリーリタイアまでに得られる一年あたり平均収入 Acを一年あたりにした数字です。

Ad…予備費 ここをどの程度で見積もるかは難しいです。ここを保守的に過大に見積もればアーリーリタイア予定年は遠のき、ここを楽観的に過小に見積もれば老後破産の恐怖が近づきます。各自の思想の差が最も出る所ではないでしょうか。

Z支出の部

Z…死亡時までの総支出 今日から死ぬまでにかかる全費用の合計です。

Za…一年の生活費 一年当たりの総出費です。
Zb…一年あたりの純生活費です。 例えば車の購入や家の修理などの大きな出費を除いた一年あたりの生活費です。
Zc…予定臨時出費 例えば車の購入や家の修理費などです。ZbとZcは各自の計算のしやすさでわけてもらえればいいと思います。

B年齢の部

B…現在の貴方の年齢です
Ba…予定享年、、、、いや、なんかすごい言葉ですね、、貴方がいつまで生きるかです。ちなみに日本人の平均寿命は2019年のデータで女性87.32歳男性81.25歳です。ここを大きな数字にするとアーリーリタイアは遠のき、小さい数字にすると老後破産の恐怖は近づきます。
Bb…アーリーリタイア予定年 アーリーリタイアをする予定の年齢です
Bc…年金取得開始年齢 年金を取得開始する予定の年です。この年を早めにすると一年あたりの厚生年金額は減り、遅めにすると厚生年金は増えます。

計算機の使い方と限界

計算機の使い方はそんなに難しくないと思います。ここでは3つの計算機を提示しましたが、その計算式の埋めれる数字を埋めていってください。例えば資産と支出がだいたいこれぐらいと計算できるのならば、その数字を代入していってください。最後にB現在の年齢とBa予定享年とBcを入れると、Bbアーリーリタイアができる年が計算で導けます。

逆にアーリーリタイアをする年齢が決まっているのならば、そこから逆算してAの部を導ける…あといくら貯めればアーリーリタイアができるかがわかります。

計算機自体はそこまで難しくありません。物価のインフレ率や貯金額から算出した配当利益の増減なども式に組み込もうと思ったのですが、計算式が煩雑になるために断念しました。この計算式の限界を指摘できる方ならば訂正も容易だと思いますので賢兄諸氏にお任せします。

各数字をどのように見積もるかで、いつアーリーリタイアができるのかいくら貯めればいいのかといった答えは変わってきます。

とくに見積もりにくいのは予備費とか予定享年とかになると思います。この計算機を考えていくうえで、あるいは自分のリタイア予定年などを考えるうえで改めて思ったのですが、未来は可視化しにくいです。一寸先は闇でもあるし光でもあります。

今年の一月時点でコロナ騒動がここまでになると予想した人はごく少数でしょうし、同じように今後の何十年先を見通すのは不可能です。

いくら保守的にあるいは楽観的に計算機に数字を当てはめた所で、計算結果は絶対でも万能でもありません。どこまでも「参考データ」にしかならないという限界はご理解ください。

 


作成参考サイト

逃げ切り計算機  貯金を食いつぶせばいつまで持つかという視点で作っておられます


 

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