搾取されるクラウドワーカー

ライターの仕事に限定して喋りますが、巷での手軽な副業としてランサーズやクラウドワークスを取り上げられているけども、結論から言うと儲からないです。

もう少し正確に言うと、簡単には儲からないようにできています。しっかりとした技術があり、継続的に作業をできる人ならば儲かります。そうではなしに、軽い気持ちで手軽にできる副業と思い手を出しても中々儲からないようにできています。

webライターの供給過剰

web上にライター需要がいっぱいあるというのは事実です。ランサーズでライティングの仕事で検索すると1000件以上がヒットします(2017年6月)。問題は需要ではなくて供給側にあります。

言ってしまえばライティングの仕事と言うのは誰にでもできる仕事です。特別な記事を書ける能力が無い、普通の人の代わりはいくらでもいます。また当のランサーズクラウドワークスが「誰でもできます、普通の主婦が稼いでいますよ」と宣伝しています。

ライターが増えるとクライアントからすると選択肢が増えるわけですから、良い話です。
またランサーズやクラウドワークスから見てもクライアントが喜ぶわけですから良い話です。そりゃろくなスキルが無くてもライターの数が増えていくわけです。

クラウドワークスランサーズで実際に見た仕事

「誰でも簡単にできる仕事」とうたっていまして実際にどちらかのサイトで見た仕事ですが、人の名前をローマ字に直して入力していくデータ入力の仕事というのがありました。

例えば「安倍晋三」→「Abe Shinzou」といった感じですね、慣れたら10秒程度でできるとのクライアントの言葉もありました。またアダルトな内容も含むとの事でしたので、想像するにアダルト動画のアフィリエイトサイト構築関係の仕事です。

アダルト関係なのはともかく、問題なのはこれに提示されていた報酬が一件につき0.1円という点です。クライアントはスキルのいらない仕事だから安いのは了承してください、その代わりに継続したらボーナスを出したりもします…と言ってはいましたがどうなんでしょうか。

クライアントの言葉をそのまま信じて、10秒で1件この仕事をこなしたら1分で6件、1時間で360件入力可能です。これは休憩もなく、トラブルの類もなく、全てが順調にこなせたら…という前提での件数です。

仮に超優秀な能力を持っていて、1分間に倍の12件を処理できても、1時間で720件、時給72円のお仕事です。時給72円の仕事をあなたはやりたいですか???

搾取の対象とされる初心者

依頼を出すのはクライアント側の自由です。ただこういった仕事を受けてしまうのは、スキルに自信がなく「誰にでもできる…」という言葉に飛びつきやすい真面目な人たちです……

そういった人たちを絡めとるために、「仕事には誠実たれという倫理観」が悪用されます。
曰く「安い単価でも仕事なんだからちゃんとしないと」、曰く「こういった積み重ねが次につながっていく、今は頑張る時」などなど

いい加減目を覚ましましょう

安い仕事をしてはダメです。この世で一番大切なのは自分自身です。その自分を安くダンピングして売るとは何事ですか!自分をもっと大切にしてください。

あえて悪質と言いますが、こういったクライアントはランサーズやクラウドワークスに跳梁跋扈しています。何の庇護もない個人ランサーとしてやっていくなら、こういった手合いと関わるのは避けてください。

時給36円の仕事をしてはいけませんし、仮に何かの手違いでしてしまったなら、できるだけ低い労力でその仕事をクリアする努力をするべきです。36円の仕事をいかに誠実に行っても喜ぶのは悪質なクライアントだけです。

社会問題としての個人労働者のブラック労働

私が言っているのは言うならば「仕事に手を抜け」という事です。真面目な人ほど抵抗があると思います。しかしながらこれは一般的な労働関係下では、ブラック企業ややりがいの搾取という名前で、すでに一般的な社会問題になっています。

今後ますます、雇用の流動化は進み、様々な仕事の形態が増えていくと思われます。個人で仕事をしていくのなら、労働者ではなく事業主であり、自分の身は自分で守る意識も必要になってきます。